2026.07.27
脳に小さな刺激を
ブログたまに、何かを隣の部屋に取りに行こうと思って立ち上がったものの、その途中で別のことを考えてしまい、「あれ?何を取りに行くんだっけ?」となった経験はありませんか。
人の名前がなかなか出てこない。
カタカナの言葉を思い出せない。
さっき置いたはずの物が見つからない。
会議で話そうとしていた内容をど忘れしてしまう。
50代を過ぎた頃から、こうした場面が増えたと感じる人は少なくないようです。私も最近、「あれ?」と思う瞬間が以前より増えた気がします。
物忘れというと、「年齢とともに脳が衰えていくから仕方がない」と考えがちですが、調べてみると、必ずしもそれだけではないようです。脳細胞そのものが失われているというよりも、「脳の使い方の癖」が固定化してしまうことが大きく影響しているとも言われています。
確かに、年齢を重ねるほど生活は安定し、毎日の行動もある程度パターン化していきます。若い頃は、新しい人との出会いや初めて経験する出来事が多く、脳は自然とたくさんの刺激を受けていました。ところが年齢を重ねると、仕事も生活も慣れた環境の中で進むことが増えます。その結果、脳に新しい負荷がかかる機会そのものが少なくなっていくのです。
そう考えると、物忘れは「年齢による変化」であると同時に、「脳を使う機会が減ったことによる変化」でもあるのかもしれません。ここで気をつけたいのが、次のような流れです。
物忘れをする
↓
「もう歳だから仕方がない」と思う
↓
覚えようとする機会が減る
↓
考えることが少なくなる
↓
脳を使う機会が減る
↓
さらに物忘れが増える
もちろん、加齢による変化は誰にでもあります。けれども、この流れの中で少しずつ「考えること」や「覚えること」を手放してしまうと、脳はますます新しい刺激を受けにくくなってしまいます。脳は筋肉とよく似ていて、使うほど働きやすくなり、使わなければその機能は少しずつ眠った状態になっていくそうです。
そして、記憶力の変化と同じくらい気をつけたいのが、「考えること自体が面倒になる」という変化です。新しい発想やアイデアは、脳の中でさまざまな情報が結びつくことで生まれます。ところが考えることを避けるようになると、その結びつきが起こりにくくなり、「いつもと同じ方法」ばかりを選ぶようになります。
すると、新しいアイデアが浮かびにくくなったり、変化への対応が難しくなったりすることもあるようです。これは能力が失われたというよりも、脳が新しい刺激を受け取る機会が少なくなった結果なのかもしれません。
さらに、この状態は意欲にも影響すると言われています。脳は新しいことを学んだり、目標を考えたり、計画を立てたりすると活性化します。逆に考える機会が減ると、脳がワクワクする場面も減り、「何か新しいことをやってみよう」という気持ちが生まれにくくなるのです。
「物忘れが増える」
↓
「もう仕方がないと思う」
↓
「考えることが減る」
↓
「やる気も出にくくなる」
この流れは特別な人だけに起こるものではなく、多くの50代・60代が経験しやすい変化なのかもしれません。けれども、見方を変えれば希望もあります。ありがたいことに、脳の神経回路は年齢を重ねても新しく作られ続けることが分かっています。つまり、「もう遅い」ということはないのです。
では、どのようなことを心がければよいのでしょうか。
調べてみると、新しい情報に興味を持つこと、学んだことをそのまま受け取るだけでなく自分なりに整理すること、そして頭の中を見える化しながら考える習慣を持つことが大切だそうです。
たとえば読んだ本の内容をメモしてみる。
気になったことを自分の言葉でまとめてみる。
誰かに説明してみる。
そんな小さなことでも、脳にとってはよい刺激になるのでしょう。脳に少しだけ負荷をかける習慣を日常の中に取り入れる。その積み重ねが、記憶力だけでなく発想力や意欲を育てることにもつながっていくのかもしれません。
物忘れをしたとき、「もう歳だから」とため息をつくのではなく、「今日は脳にどんな新しい刺激を与えようか」と考えてみる。そんな小さな意識の変化が、これから先の毎日をよりいきいきとしたものにしてくれるのではないでしょうか。



