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2025.10.07

共感と傾聴が育てる穏やかな関係

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誰かの話を聴いているつもりなのに、気づけば自分の頭の中では「なんて答えよう」「似た経験を話したほうがいいかな」と考えていることがあります。

今日ビジネスミーテイングで話題になったのですが、これは誰にでも起こる自然な反応だということで全員がうなずいていました。

心理学を大学で講義している教授がシェアしてくれたのですが、心理学的に見るとこの“反応の早さ”が、共感的な聴き方を難しくしているのだそうです。

人は安心を感じるとき、自分の話を「正しく理解されようとしている」と感じた瞬間に、少しずつ心を開いていくと言われています。

たとえば、友人が仕事の悩みを話しているとき。「上司とうまくいかなくて…」とつぶやくその背後には、言葉にできない不安や孤独が隠れていることがあります。そのとき私たちが「そうなんだ、大変だったね」と相手の気持ちに寄り添うように返すだけで、相手の表情が少し柔らかくなるもの。

これは、心理学で言う“共感的理解”が働いた瞬間で、相手の世界を正そうとせず、ただ感じ取ろうとする姿勢が、人の心に安らぎをもたらすということです。

傾聴とは、相手の言葉を「聴く」だけでなく、その言葉が生まれた心の場所を感じ取ること。沈黙の時間も大切にしながら、急いで答えを出そうとせずにいると、相手の中で自然に気づきが芽生えることがあるのであくまでも寄り添う姿勢が大切だということですね。

心理カウンセリングでは、クライアントが「話しているうちに自分で答えを見つけた」と言うことがよくありますが、それはまさに“聴いてもらう力”によって心が整理されていくからです。

日常生活でもこの力は大きな意味を持ち、家族との会話でも職場でのミーティングでも、「正論を言う」よりも「相手の感じていることを理解しようとする」ほうが、信頼関係は深まります。人は論理ではなく“理解される体験”によって変わるのです。

そして不思議なことに、誰かに深く共感しているとき、私たち自身の心も穏やかになっていき、相手を受け入れていると、自分も受け入れていることになったり。

共感と傾聴は、他者との関係を整えると同時に、自分の内側を静かに整える行為でもあります。誰かの言葉に耳を傾けるという小さな行為が、実は心の世界を豊かに育てているのかもしれません。


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