2025.12.20
迷いが教えてくれること
ブログ今日も、身を切るような寒さにはならない一日。師走だというのに、イチョウの木にはまだ葉が残っていて、季節の進み方が少しゆっくりに感じられます。
ainaHAIRにご来店くださったM様が施術中に、「人間は一つの側面だけでは語り尽くせない、多面性を持った存在ですよね」と話してくださいました。
その言葉を聞きながら、状況が変われば態度も変わり、関わる相手が変われば言葉やふるまいも自然と変化していく、そんな日常の当たり前の光景が思い浮かびました。
ふと、若い頃に「自分は人に対して、本当の自分を出せていないのではないか」と悩んだことを思い出します。前向きでいようとする自分がいる一方で、慎重さや不安を抱える自分もいて、穏やかな時間もあれば、迷いや葛藤に揺れる時もある。そのどれか一つが本当で、他は偽物だと感じていた時期もありました。
けれど今振り返ると、そうした内側にあるいくつもの顔は、矛盾ではなく、人間としてとても自然な姿なのかもしれません。喜怒哀楽の豊かさ、場面によって入れ替わる積極性と消極性、得意な自分と不得意な自分。それらは人生経験を重ねるほどに、少しずつ深みを増していきます。
多面性があるからこそ、人は状況に応じて柔軟にふるまうことができ、環境の変化の中でも自分のバランスを保つ力を育てていきます。ストレスの多い場面で踏みとどまれるのも、内側に複数の視点や感情があるからこそだと言えるでしょう。
大切なのは、自分の中にある多面性に気づき、それをただ受け入れるだけで終わらせず、必要に応じて働かせていくこと。不安を感じる自分は、状況を丁寧に観察し、慎重な判断を助けてくれます。厳しさを持つ自分は、高みを目指すための推進力になります。やさしさを持つ自分は、人とつながり、関係性を育てるために欠かせません。
どれか一つが正しくて、他が間違っているわけではなく、それぞれが役割を分担するように働いている。その結果として、人は移りゆく外界の変化の中でも、しなやかに生き続けることができるのだと思います。
迷いや葛藤が生まれるのは、多面性がうまく機能している証でもあります。葛藤があるからこそ、自分の価値観は磨かれ、人格は少しずつ成熟していきます。多面性は自己矛盾ではなく、人間としての豊かさそのものなのです。
自分の中にいる、いくつもの自分の声に、そっと耳を傾けてみてください。そこには、これからの人生をよりよくしていくためのヒントが、静かに息づいているはずです。



