2026.03.06
人と同じ、そして自分らしく
ブログ人と同じでありたいと思う気持ちと、自分らしく生きたいという思い。その二つのあいだで、私たちはどのようにバランスを取っていけばよいのでしょうか。
周囲と同じであろうとする気持ちは、多くの人が自然に持っているものであり、社会の中で生きていくための適応のひとつともいえます。
私自身も、今はそうでもありませんが、小学生の頃まではその思いを強く抱いていました。幼い頃、事情があって父方の祖父母に育てられ、親と過ごせるのは週に一度だけという環境だったからです。どこかで周囲との違いを感じていたからこそ、せめて学校では人と同じでありたいと思っていたのかもしれません。
周囲と歩調を合わせ、調和を大切にする姿勢は、集団の中で居場所を見つけ、安心して生きていくための大切な力です。特に日本では、長いあいだ個性よりも周囲との調和が重んじられてきました。同じであることに安心感を覚えるのは、そうした文化の中で自然に育まれてきた感覚なのかもしれません。
「同じ」という共通点があると、関係性は築きやすくなります。無用な衝突を避けることができ、所属感や一体感といった、共同体としての感覚も生まれやすくなります。人と同じであろうとすることには、確かにこうした良さがあります。
けれども、人にはそれぞれを特徴づける個性があります。個性がより尊重されるようになった今の時代だからこそ、物事の捉え方や解釈の違い、理屈抜きで心惹かれるもの、こだわりのポイント、何を重視し、どのような基準で意思決定するのかといった、自分らしさにも目を向けていきたいものです。
そうした違いは、ときに不安を伴うかもしれません。しかし、その違いの中にこそ、その人ならではの視点や経験、価値観が宿っています。違いを受け入れることは、人としての多様性を認めることであり、自分だけの独自性の種を見つけることでもあります。人と異なる発想や経験は、新しいアイデアの源にもなり得るのです。
やがて、「誰でもできること」だけでなく、「自分だからこそできること」が少しずつ増えていきます。そして自分の独自性を受け入れられるようになると、他者の違いにも自然と寛容になっていきます。その結果として、より豊かな関係性を築きやすくなるのではないでしょうか。
人との違いに気づいたときには、まずそれを否定せず、「自分はそう感じているのだな」と静かに受け止めてみてください。そのうえで、その感覚がどこから生まれてきたのか、自分が本当は何を大切にしているのかを、丁寧に見つめてみることです。
人と同じであろうとする力と、人との違いを活かす力。この二つをどちらも持ちながら歩んでいけたなら、私たちは社会の中でしなやかに、そしてより自分らしく生きていけるのではないでしょうか。



