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2026.02.28

しなやかに立ち直る力

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困難や逆境の中に置かれれば、誰もがストレスを感じます。同じような出来事に直面しているはずなのに、なかなか回復できない人もいれば、驚くほど早く立ち直る人もいる。その違いは、どこから生まれるのでしょうか。

失敗してもすぐに気持ちを切り替えられる人、嫌なことがあっても前向きさを失わない人、落ち込んでも比較的早く日常へ戻っていける人。そこに関わっているのが「レジリエンス」と呼ばれる心の回復力です。それは強さというよりも、しなやかさに近いものかもしれません。強風にさらされても折れずにしなる竹のように、いったん揺れながらも、やがて元の位置へ戻ってくる力です。

心理学の研究では、レジリエンスの高い人ほど、ストレス状況の中でもポジティブな感情を比較的多く経験する傾向があることが示されています。そしてそのポジティブ感情は、単に気分を明るくするだけではなく、高まった心拍などの生理的な覚醒状態からの回復を早める働きを担っているとされています。つまり、心の在り方が、そのまま身体の回復スピードにも影響しているのです。

ポジティブな感情には、思考や行動の幅を広げる作用もあると考えられています。視野が狭くなりがちなストレス状況の中で、「他の可能性はないだろうか」「ここから何を学べるだろう」と問い直す余白をつくる。出来事を「脅威」としてのみ受け止めるのではなく、「挑戦」として再解釈することで、回復のプロセスは変わり始めます。

たとえば失敗を「もうだめだ」という終わりの物語にするのか、「ここから何を得られるだろう」という途中の物語にするのか。その違いが、次の一歩を踏み出すエネルギーを左右します。

大切なのは、レジリエンスは固定された資質ではないということです。日々の小さな実践によって、ゆっくりと育てていくことができます。今日あった良かったことに目を向けること。支えてくれる人とのつながりを大切にすること。出来事の中に、自分なりの意味を見出そうとすること。そうした積み重ねが、いざというときの回復力を静かに支えます。

困難がまったくない人生は、おそらくありません。けれども、困難に出会ったときの「戻り方」は、自分の手の中にあります。揺れないことを目指すのではなく、揺れながらも戻ってこられる自分を育てていく。その営みこそが、心と身体のウェルビーイングを支える土台になっていくのかもしれません。

そして次に強い風が吹いたとき、私たちはきっと、以前よりも少しだけしなやかに立っているはずです。


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